2005-01-01から1年間の記事一覧

テスト、テスト

以下の文章を読み、( )と《 》のそれぞれに当てはまる言葉を答えなさい。 戦後、( )は自ら政治規範を示し、それに反する者を社会的に制裁することで民主主義の浸透を図ってきた。しかし多くの人は、「ポリティカル・コレクトネス」が押しつけられると感…

ドス・パソス『マンハッタン乗換駅』(1925)

いわゆる都市小説というものが、いつごろに起源を持つものなのかはよくわからない。ことによれば、ペトロニウスの『サテュリコン』まで遡ることさえできるのかもしれないが、そこまでいくと、少なくともわれわれが生きる近代以降の都市を描いたものではない…

模様替え

またぞろ不眠症気味で眠れないのをいいことに、やけになって深夜四時過ぎにもなってブログのモデルチェンジをする(明日、ていうか今日辛いぞ>自分)。 んーこのテーマだとフォントが小さくて見づらいなと思ったので、見よう見まねでスタイルシートをいじる…

エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』

フェッセンデンの宇宙 (全集・シリーズ奇想コレクション)作者: エドモンド・ハミルトン,中村融出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/04/15メディア: 単行本 クリック: 48回この商品を含むブログ (78件) を見る 「のちにSFの定番となるアイデアの数々を…

オルネラ・ヴォルタ『エリック・サティの郊外』昼間賢訳

エリック・サティの郊外作者: オルネラヴォルタ,Ornella Volta,昼間賢出版社/メーカー: 早美出版社発売日: 2018/01/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 私はエリック・サティと聞くとすかさず「三つのジムノペディ」の”ゆっ…

マシュー・カソヴィッツvsニコラ・サルコジ

fenestraeさんのブログ経由で知ったのだが、郊外を舞台にした映画「la Haine 憎しみ」の監督マシュー・カソヴィッツが自身のブログでニコラ・サルコジ内務大臣を批判したところ、当のサルコジ氏が自ら反論を書き込んで騒ぎになっているとのことだ。 さっそく…

アントワーヌ・ドサン=テグジュペリ『プチ・プランス―新訳 星の王子さま』

プチ・プランス―新訳 星の王子さま作者: アントワーヌ・ドサン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,川上勉,廿樂美登利出版社/メーカー: グラフ社発売日: 2005/10メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 最近びっくりするくら…

フィリップ・クローデル『リンさんの小さな子』

リンさんの小さな子作者: フィリップクローデル,Philippe Claudel,高橋啓出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2005/09/17メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (58件) を見る 同じ作者の『灰色の魂』も色濃く死に彩られた小説だっ…

古川日出男『LOVE』

LOVE作者: 古川日出男出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2005/09メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (199件) を見る 一読して「こいつは凄い」、と思った。だがその凄さがどういうものなのかは私の貧弱な言葉ではとても言い表せな…

P・G・ウッドハウス『ジーヴズの事件簿』

ジーヴズの事件簿 (P・G・ウッドハウス選集 1)作者: P.G.ウッドハウス,岩永正勝,小山太一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/05/27メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (85件) を見る イギリス上流階級の独身貴族バーティ・ウ…

図書館奇譚

いつものように図書館で借りてきた本を読んでいたところ、鉛筆による書き込みがなされたページがあって、その片隅に「図書館の本に書き込みするな!」と怒りの筆致で記された付箋が貼りつけられていた。 当然これは書き込みをした人の後、かつ私より前にこの…

Fate/hollow ataraxia

Fate/hollow ataraxia 初回版(DVD-ROM)出版社/メーカー: TYPE-MOON発売日: 2005/10/28メディア: DVD-ROM購入: 3人 クリック: 84回この商品を含むブログ (173件) を見る 本来的には制作側にとっても享受する側にとってもクリティカル(危機的=批評的)たりえ…

渡邉恒雄『わが人生記』刊行のお知らせ

今朝の読売新聞の社会面の下のほうに、小さな記事ではあるが「渡辺恒雄本社主筆」の自伝刊行のニュースが掲載されているのを見て、いくら読売とはいえそりゃないだろと思った。せめて日曜の書評欄にでもさりげなく紛れ込ませればいいのに、こう堂々と紙面で…

見る、聞く、言わざる

パリ郊外から始まった暴動を話題にしたブログを見て回ったところ、日本だけではなくフランス語のブログにおいてすら、暴動の主柱をなしているとされるアラブ・アフリカ系移民*1について、「自分の意志で移住してきたのに思うようにならないからといって不満…

フランソワ・ボンという人

日本ではほとんど無名だが、フランソワ・ボンというフランスの作家がいる。 優れた小説家であるのはもちろんだが、高校(lycée)生などを対象として文章を書くことを教えるという活動*1を行っていることでも知られる。 彼の教室はいわゆる文章作法ではなく、…

「暴力にノンを、対話にウィを」

パリ郊外から始まった暴動は、地理的には離れたストラスブールやトゥールーズにも規模はそれほどでもないとはいえ飛び火しつつあるらしい。 そんな中、クリシー・スー・ボワと同じセーヌ・サン・ドニ県のオルネ・スー・ボワで2千人から3千人の人が参加した…

パリ郊外の暴動

パリ郊外セーヌ・サン・ドニ県のクリシー・スー・ボワで起きた、移民中心の若年層による暴動がどうもフランス全土を揺るがす騒動に発展しそうな気配を見せている。 ことの起こりは10月27日の夜、警官隊に追われたアフリカ系移民の少年2人が変電施設で感…

犬のフランス語

フランス語で犬は cien というが、 comme cien et chat「まるで犬と猫のようだ」という言い回しは日本語の「犬猿の仲」に相当する。犬と猫ってそんなに相性悪くないと思うのだけど。しかしまあ、考えてみれば犬と猿が喧嘩しているところだって見たことない。…

桃とピンク

車を運転中たまたまつけたラジオから流れていた井筒和幸のブジオ*1で耳にしたのだけど、なんでも今日11月1日は、one one one つまりワンワンワンということで犬の日なのだそうだ。いったい誰が考えるんでしょうね、こういうの。 とまあそんなことはどうで…

新倉俊一『詩人たちの世紀 西脇順三郎とエズラ・パウンド』

詩人たちの世紀―西脇順三郎とエズラ・パウンド (大人の本棚)作者: 新倉俊一出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2003/05/23メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る 西脇順三郎とエズラ・パウンドやその周辺の人びとを中…

桜庭一樹『GOSICKs』―少女と人形

GOSICKs ―ゴシックエス・春来たる死神― (富士見ミステリー文庫)作者: 桜庭一樹,武田日向出版社/メーカー: 富士見書房発売日: 2005/07/08メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 61回この商品を含むブログ (136件) を見る このシリーズを読んでいていつも思うのだ…

ヴィクトル・ユゴー『九十三年』

九十三年 上 (潮文学ライブラリー)作者: ヴィクトル・ユゴー出版社/メーカー: 潮出版社発売日: 2005/03/03メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 22回この商品を含むブログ (6件) を見る九十三年 下 (潮文学ライブラリー)作者: ヴィクトル・ユゴー出版社/メ…

サルトルと出産

やっとこさ読み終えたベルナール・アンリ・レヴィの『サルトルの世紀』に触発されて、サルトルの『実存主義とは何か*1』をひさしぶりに読み返してみた。 内容とは全然関係ないのだが、私の本棚にあるこの本は、ずいぶん前に古本屋で50円という安さにつられ…

エミール・ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店』

ボヌール・デ・ダム百貨店―デパートの誕生 (ゾラ・セレクション)作者: エミールゾラ,´Emile Zola,吉田典子出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2004/02/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (8件) を見る それにしても久しぶりだなあ、更新…

眠れない 眠れないったら 眠れない

さいきん不眠症気味で頭がぼうっとしていて(まあ、いつもそうなんだけど)、ろくに本も読めない。なのにまっすぐ帰宅しないでふらふらと図書館に立ち寄り、前から読みたいと思っていた白水社の《シリーズ・ドイツ現代史》が既刊2冊*1とも新規に購入されて…

「劇場」を構成するのはなにか

わたしは、いままで何人かの政治家と話したことがある。その特徴は、「他人の話を聞かない」こと。つまり、こちらが「Aについてどう思いますか?」訊ねると、「はい、Bはですね」と答える。まるで話が噛み合わない。というか、まるでこちらの話を聞いてい…

シモーヌ・ヴェイユ『自由と社会的抑圧』

自由と社会的抑圧 (岩波文庫)作者: シモーヌ・ヴェイユ,冨原眞弓出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/03/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 40回この商品を含むブログ (49件) を見る ずっと前に読んだ覚えがあるのだが、内容はほとんど忘れていること…

奥泉光『モーダルな事象』

モーダルな事象 (本格ミステリ・マスターズ)作者: 奥泉光出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/07/10メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (94件) を見る 二日がかりで読了。 文藝春秋の『本格ミステリ・マスターズ』シリーズの一冊として…

ダルな事象

「良い政治家とは、未来を予言することができ、また、あとでどうして物事が予言したように進まなかったかを説明できる人物である。 ――ウインストン・チャーチル」 奥泉光の『モーダルな事象』を読んでいたところ、第二章の扉ページにこの言葉がエピグラフと…

田代裕彦『平井骸惚此中二有リ』1

平井骸惚此中ニ有リ (富士見ミステリー文庫)作者: 田代裕彦,睦月ムンク出版社/メーカー: 富士見書房発売日: 2004/01/10メディア: 文庫 クリック: 11回この商品を含むブログ (61件) を見る 時は大正十二年、探偵作家平井骸惚に弟子入り志願する河上太一は、入…