執着という名のイカリ

昨日はあんなこと書いちゃったけど、さしあたって学校当局が有効ないじめ対策に積極的に取り組むなどということはとても考えられず、いじめ被害者が主体的に闘争するということが極めて過酷である以上、とりあえずは各自が逃げ場を確保するしかないかもしれ…

くだらないことだが

上のエントリを書いたあと、はてなキーワードの「大西巨人」の項目に目を通してみたところ、「大橋巨泉とは別人である。」に不覚にもちょっと笑った。わざわざ書く必要ねえだろ、そんなこと!

いじめ自殺問題について『神聖喜劇』の藤堂二等兵(というか大西巨人)を参考にしてみよう

教室ないし学校を「特殊ノ境涯」として規定し成立させようとしたのは、ほかならぬ日本支配権力・国家主義者であったのである。絶対主義的学校の部分に組み入れられた教師が新入生にまず浴びせかけた言葉は、「学校は、家庭とは訳が違うぞ。」、「貴様は、家…

多和田葉子の『容疑者の夜行列車』を読んでいたらたまらなく列車の旅がしたくなってきた

容疑者の夜行列車作者: 多和田葉子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2002/06/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 13回この商品を含むブログ (58件) を見る 本を開く前にまず、表紙の写真をじっくり眺めてみる。 やや斜め左に伸びた線路のむこうには停車し…

スパイナル・タップ

スパイナル・タップ [DVD]出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン発売日: 2006/09/21メディア: DVD クリック: 16回この商品を含むブログ (23件) を見る 今一番面白い深夜番組(当社比)の「Rock Fujiyama」でローリーやマーティー・フリード…

ちかごろ世を騒がせている(というかマスコミが騒いでいる)必修科目未履修問題についてなど。

本を読む暇がなかったのでしばらく放置していたのだが、なぜかアンテナで更新チェックされていたのをきっかけに復帰してみる。 私は田舎の公立高校出身で、受験対策の必修逃れなどにはとんと縁がなかった。なんせ男子校であるにもかかわらず(本来は、である…

書を捨てよ、砂漠を出よう。

グロテスクな教養 (ちくま新書(539))作者: 高田里惠子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/06/06メディア: 新書購入: 8人 クリック: 222回この商品を含むブログ (139件) を見る 世の中には読むと「いやーな気持ち」になる本がけっこうあって、たとえば「…

ツルゲーネフ『父と子』

父と子 (岩波文庫 赤 608-6)作者: ツルゲーネフ,金子幸彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1960/09/25メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 十九世紀の小説を読んでいると、この作品に限らず、物語が佳境にさしかかったところで…

その女、ヒナギクにつき

デイジー・ミラー (新潮文庫)作者: ヘンリー・ジェイムズ,西川正身出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1957/11/22メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (9件) を見る 表題になっているデイジー・ミラーは、未婚の婦人が男と二人で外出す…

グッバイ、レーニン――クロポトキン書簡三通

一〇月革命の勝利からほどなくして、国内ではテロが始まった。クロポトキンはこれを座視できなくなった。一九一八年九月一七日、レーニンにあててこう書いた。 「きわめて深刻な問題、〈赤色テロ〉について話し合うためお会いしたく存じます。これについては…

プルートウ――冥府よりの破壊者あるいは福音の使徒?

PLUTO (3) (ビッグコミック)作者: 浦沢直樹,手塚治虫,長崎尚志出版社/メーカー: 小学館発売日: 2006/03/30メディア: コミック購入: 3人 クリック: 51回この商品を含むブログ (423件) を見る この漫画の原作(というか原案というべきか)は手塚治虫の鉄腕アト…

ナショナリズム逍遙

フランスでは、かつてナショナリズムは左翼のシンボルであった。それが、十九世紀末から二十世紀初めにかけて右翼のシンボルと化した。フランス・ナショナリズムは、ジャコバン的共和主義を原動力とする左翼の思想から、反議会制民主主義を志向する右翼のイ…

身近にあるサイボーグ技術

私は長いこと歯医者に通っていたのだけど、先日ようやっと乳歯*1を一本抜いてその隣の歯の神経を抜き、穴埋めのためにブリッジ*2を嵌め込んで、治療が一段落した。 ブリッジを装着して数日、口の中の異物感には慣れたのだけど、食事が不味くなったのはどうに…

Charles Baudelaire“Assommons les Pauvres!”(4/21追記)

またボードレールの翻訳。今回は『パリの憂鬱』の中で私が一番好きな、というか印象に残っている詩。既約を参照してないのでとんでもない誤訳がありやしないかヒヤヒヤする。 貧乏人を殴り殺せ! 二週間のあいだ私は自室に閉じこもって、当時(十六、七年前…

Charles Baudelaire “L'étranger”

なんとなく翻訳がしたい気分。ということで邦訳のない現代詩でも訳そうかと思ったけど、それは著作権的にまずそうなので結局古典に落ち着く。シャルル・ボードレールの散文詩『パリの憂鬱』から冒頭の詩を。 異邦人 ――君がいちばん愛しているのはだれかね、…

『ワトソンはいかにしてトリックを学んだか?』コナン・ドイル著

前回のエントリで取りあげたシャーロック・ホームズの掌編をなんとなく訳してみる。おもいっきり直訳なのですごい読み辛いけど。あと、ボードレールは長すぎるので訳し(せ)ません。あしからず。 ワトソンは朝食のテーブルについてからずっと、熱心に彼の友人…

探偵の力

探偵小説と二〇世紀精神 (キイ・ライブラリー)作者: 笠井潔出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2005/11/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (23件) を見る 近代の均質化した大量死=大量生が個々の死を詳細に扱う探偵小説形式を生んだという笠井潔の説…

事実は小説より奇なり

夫人は一切野球に興味がなく、夫がプロ野球選手であることも知らなかった。福本も福本で「松下から阪急に転職するから」としか説明しなかったからだが、夫人は夫が阪急電鉄の駅員として働いているものと思い込み各駅を探し回った。そのうちに駅員から「もし…

連続試合フルイニング出場から勤勉さの涵養を導く皆勤賞至上主義

(……中略)金本が記録をつくった足かけ8年は高校・大学の7年に匹敵する。この間、優等生で皆勤賞を続けた。フル出場の維持は「仕事に対する責任感」と金本◆そこここで責任感が劣化し、不祥事が続発する世にまたとないお手本だ。 (読売新聞4月10日夕刊…

当世大学事情或いは教員奮闘記

学生と読む『三四郎』 (新潮選書)作者: 石原千秋出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/03/16メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (50件) を見る これって、ちゃんと『三四郎』の分析がなされているとはいえ、小説・文学の関連書籍…

須賀しのぶ『天翔けるバカ』全二巻

天翔けるバカ―flying fools (コバルト文庫)作者: 須賀しのぶ,梶原にき出版社/メーカー: 集英社発売日: 1999/12/01メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る天翔けるバカ We Are The Champions (天翔けるバカシリーズ) (コバルト文庫)…

プリプリといっても「ダイアモンドだね」のアレではない。

プリンセス・プリンセス 「姫」という制度。それは、男子校での男ばかりの生活の潤いとなるべく見目麗しい生徒を選び、校内のイベントの度に女のコの格好をさせるというもの。 しかも、衣装はゴスロリ! 転校生・河野亨は、その美形さゆえに本人が気づかない…

地球をしばらく止めてくれ、私はゆっくりアニメが見たい

アニメの新番組が多すぎる。私の住む地域では、なななんと今日だけで全国ネットと独立UHFあわせて七本もあるのだ。見られるわけないだろ、そんなん(逆ギレ)。だいたい、時間に余裕のある人だってこれだけの数を全てチェックするのはちょっとしんどいん…

ミスマッチもまた愉し

Charlie Parker - Studio Scenes YouTubeというのは著作権的にどうなんだろうと思うのだが、面白い映像が見つかるのでついつい覗いてしまう。マクリーンの映像を探したのだが見つからなくて残念。代わりに彼の師匠格であるチャーリー・パーカーの、残された…

くもりガラスを手でふいて、あなた、瞳子が見えますか

マリア様がみてる 23 くもりガラスの向こう側 (コバルト文庫)作者: 今野緒雪,ひびき玲音出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/03/31メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (246件) を見る この巻のサブタイトルを目にして「ルビーの指環」を思…

dedicated to JACKIE McLEAN

(04/04加筆修正) ジャッキー・マクリーン*1が死んだ。享年73。 ここ数年、ミルト・ジャクソン、ジョン・ルイス、トミー・フラナガンといったジャズ界の大御所が立て続けに亡くなったが、これでまた一人、ジャズが最も熱気を持っていた時代を体現するミュ…

漱石もびっくり?

漱石ゆかりの高校、「坊っちゃん」読了生徒4割 いいじゃん別に、読んでなくても。故郷を舞台にしていようが、作者が大作家だろうが、所詮たかが小説じゃないの。読みたくなければ読まなければいい。読んで面白くなかったら途中で放り出せばいい。それでもい…

病院にて

知人が某病院に入院したので見舞いに行ったのだが、しばらく話をして帰ろうとしたところ、「ただいまより当病院長による回診をおこないます。外出中の患者さんは病室にお戻りください」というアナウンスが聞こえた。なんだろうと思っていたら廊下の向こうか…

聖子がセイコーの精巧な時計を精工する

それにしても、トリノオリンピック閉幕後の荒川静香選手のもてはやされぶりを見るにつけ、メダルを取るか取らないかで大きく違うものなのだなあと改めて感じる。私としては、「参加することに意義がある」オリンピックなんだし、選手本人はともかくとして、…

ダジャレ脳の恐怖

ついさっきまで、『チボー家の人々』の作者はロジェ・マルタン・デュ・ガールではなくアルベール・チボーデだと勘違いしていた。読んだこともあるというのに。だいたい、チボーデは批評家だろ>俺。日頃くだらない地口ばかりたたいているからこういうことに…