2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ナショナリズム逍遙

フランスでは、かつてナショナリズムは左翼のシンボルであった。それが、十九世紀末から二十世紀初めにかけて右翼のシンボルと化した。フランス・ナショナリズムは、ジャコバン的共和主義を原動力とする左翼の思想から、反議会制民主主義を志向する右翼のイ…

身近にあるサイボーグ技術

私は長いこと歯医者に通っていたのだけど、先日ようやっと乳歯*1を一本抜いてその隣の歯の神経を抜き、穴埋めのためにブリッジ*2を嵌め込んで、治療が一段落した。 ブリッジを装着して数日、口の中の異物感には慣れたのだけど、食事が不味くなったのはどうに…

Charles Baudelaire“Assommons les Pauvres!”(4/21追記)

またボードレールの翻訳。今回は『パリの憂鬱』の中で私が一番好きな、というか印象に残っている詩。既約を参照してないのでとんでもない誤訳がありやしないかヒヤヒヤする。 貧乏人を殴り殺せ! 二週間のあいだ私は自室に閉じこもって、当時(十六、七年前…

Charles Baudelaire “L'étranger”

なんとなく翻訳がしたい気分。ということで邦訳のない現代詩でも訳そうかと思ったけど、それは著作権的にまずそうなので結局古典に落ち着く。シャルル・ボードレールの散文詩『パリの憂鬱』から冒頭の詩を。 異邦人 ――君がいちばん愛しているのはだれかね、…

『ワトソンはいかにしてトリックを学んだか?』コナン・ドイル著

前回のエントリで取りあげたシャーロック・ホームズの掌編をなんとなく訳してみる。おもいっきり直訳なのですごい読み辛いけど。あと、ボードレールは長すぎるので訳し(せ)ません。あしからず。 ワトソンは朝食のテーブルについてからずっと、熱心に彼の友人…

探偵の力

探偵小説と二〇世紀精神 (キイ・ライブラリー)作者: 笠井潔出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2005/11/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (23件) を見る 近代の均質化した大量死=大量生が個々の死を詳細に扱う探偵小説形式を生んだという笠井潔の説…

事実は小説より奇なり

夫人は一切野球に興味がなく、夫がプロ野球選手であることも知らなかった。福本も福本で「松下から阪急に転職するから」としか説明しなかったからだが、夫人は夫が阪急電鉄の駅員として働いているものと思い込み各駅を探し回った。そのうちに駅員から「もし…

連続試合フルイニング出場から勤勉さの涵養を導く皆勤賞至上主義

(……中略)金本が記録をつくった足かけ8年は高校・大学の7年に匹敵する。この間、優等生で皆勤賞を続けた。フル出場の維持は「仕事に対する責任感」と金本◆そこここで責任感が劣化し、不祥事が続発する世にまたとないお手本だ。 (読売新聞4月10日夕刊…

当世大学事情或いは教員奮闘記

学生と読む『三四郎』 (新潮選書)作者: 石原千秋出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/03/16メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (50件) を見る これって、ちゃんと『三四郎』の分析がなされているとはいえ、小説・文学の関連書籍…

須賀しのぶ『天翔けるバカ』全二巻

天翔けるバカ―flying fools (コバルト文庫)作者: 須賀しのぶ,梶原にき出版社/メーカー: 集英社発売日: 1999/12/01メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る天翔けるバカ We Are The Champions (天翔けるバカシリーズ) (コバルト文庫)…

プリプリといっても「ダイアモンドだね」のアレではない。

プリンセス・プリンセス 「姫」という制度。それは、男子校での男ばかりの生活の潤いとなるべく見目麗しい生徒を選び、校内のイベントの度に女のコの格好をさせるというもの。 しかも、衣装はゴスロリ! 転校生・河野亨は、その美形さゆえに本人が気づかない…

地球をしばらく止めてくれ、私はゆっくりアニメが見たい

アニメの新番組が多すぎる。私の住む地域では、なななんと今日だけで全国ネットと独立UHFあわせて七本もあるのだ。見られるわけないだろ、そんなん(逆ギレ)。だいたい、時間に余裕のある人だってこれだけの数を全てチェックするのはちょっとしんどいん…

ミスマッチもまた愉し

Charlie Parker - Studio Scenes YouTubeというのは著作権的にどうなんだろうと思うのだが、面白い映像が見つかるのでついつい覗いてしまう。マクリーンの映像を探したのだが見つからなくて残念。代わりに彼の師匠格であるチャーリー・パーカーの、残された…

くもりガラスを手でふいて、あなた、瞳子が見えますか

マリア様がみてる 23 くもりガラスの向こう側 (コバルト文庫)作者: 今野緒雪,ひびき玲音出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/03/31メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (246件) を見る この巻のサブタイトルを目にして「ルビーの指環」を思…

dedicated to JACKIE McLEAN

(04/04加筆修正) ジャッキー・マクリーン*1が死んだ。享年73。 ここ数年、ミルト・ジャクソン、ジョン・ルイス、トミー・フラナガンといったジャズ界の大御所が立て続けに亡くなったが、これでまた一人、ジャズが最も熱気を持っていた時代を体現するミュ…