当世大学事情或いは教員奮闘記
- 作者: 石原千秋
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03/16
- メディア: 単行本
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ひきこもりに対する一面的な見解*1など、一部に気になる社会論・教育論的な記述が見られるのだが、それは文系の大学教授として、今の社会状況で自分の教え子はなんとかまともに就職させたいという、現場での切羽詰まった熱意のなせるわざなのだろう。ふと思ったのだが、その若者論や教育論がいろいろと取り沙汰される内田樹氏も似たような事情なのかもしれない。だからといって誤謬や偏見があっても容認していいというわけではないが。
批評理論をテクスト分析を通して実践的に知りたいだけなら、廣野由美子『批評理論入門『フランケンシュタイン』解剖講義』(中公新書)のほうがいいと思う。そのかわり、こちらには「成長」という物語はないが。
*1:”いまは、「就職したら、女性は伸びない」などという声さえもう小さくなってきた。有能な女性はどんどん社会に出るだろう。その時、有能でない男性、あるいは自分が有能でないと感じる男性は、男性であるという理由だけでそれまで得ていた仕事や地位を失うことになるだろう。では、行き場所を失った彼らはどうすればいいのか。たとえば「ひきこもり」という形で、それが「社会問題化」する傾向は十分現れてきているようだ。"p.248