Charles Baudelaire “L'étranger”

 なんとなく翻訳がしたい気分。ということで邦訳のない現代詩でも訳そうかと思ったけど、それは著作権的にまずそうなので結局古典に落ち着く。シャルル・ボードレール散文詩パリの憂鬱』から冒頭の詩を。

異邦人 


――君がいちばん愛しているのはだれかね、謎めいたお人よ? 父親、母親、姉妹それとも兄弟?
――私には父親も、母親も、姉妹も、兄弟もいない。
――では友達か?
――あなたは今日まで私がその意味を知らないでいた言葉をお使いになる。
――なら祖国か?
――私はそれがどの緯度にあるのか知らない。
――美人はどうだ?
――女神のように気高く、不死であるのなら、喜んで愛しもしようが。
――さては黄金か?
――あなたが神を憎むように、私は黄金を憎む。
――ああ! 君はいったい何を愛するのかね、奇妙な異邦人よ?
――私は雲を愛する……流れゆく雲を……ほらあそこ……あそこだ……素晴らしい雲!


http://baudelaire.litteratura.com/le_spleen_de_paris.php?rub=oeuvre&srub=pop&id=139

 この異邦人が教育基本法改正案を見たら、鼻で笑うでしょうナ、どうでもいいけど。