漱石もびっくり?

漱石ゆかりの高校、「坊っちゃん」読了生徒4割
 いいじゃん別に、読んでなくても。故郷を舞台にしていようが、作者が大作家だろうが、所詮たかが小説じゃないの。読みたくなければ読まなければいい。読んで面白くなかったら途中で放り出せばいい。それでもいつの日か読みたくなったら読めばいい。小説なんてその程度のものだし、その程度だからこそ、ときとして読む者の胸をうち、ごくまれに現実認識を揺るがす力を持つ。だいたい、大学教授という名誉ある地位を捨てて専業作家という国家の余計者になり、新聞小説という金銭的にも文学的にも未開の荒野を、胃を痛めながらも維新の志士のごとき不退転の決意で開拓しようとした漱石が、ただただ後世に定まった評価や権威に則って読まれたとしても、それこそ不本意じゃないのかな。教科書じゃあるまいし、いくら漱石ゆかりの学校だからといってみんなが読まなければいけないということはないだろう。若い人が読書に親しむための環境作りやガイドは大切だと思うけど、中高生にたかだかいち小説を聖典として押しつけることはない。それって漱石的なものからもっとも遠い態度ではないのか。ていうか、なんだかんだ言って四割も読んでるというのは凄いことだと思うのですが。