今野緒雪『マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ』
マリア様がみてる 21 薔薇のミルフィーユ (コバルト文庫)
- 作者: 今野緒雪,ひびき玲音
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 文庫
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三組の姉妹模様をつづった三話構成の短編集。
分量が少ないのはいつものこととはいえ、特に本作は本文二百ページ弱とかなり短め。由乃の妹候補、有馬奈々のキャラ立てをしたり、志摩子のプライベートが垣間見えたりするのが見所。最後のページはタイトルと電車での出来事などをからめて上手くオチをつけている。ちょっと作りすぎという気もするけど。
それにしても三年生が卒業するまであと三ヶ月しかないが、由乃と奈々はともかく、それまでに祐巳は妹を作り、祥子と姉離れすることができるのだろうか。はたして次回作で電動ドリルもとい瞳子との関係に進展があるのかどうか。
ところで、後書きに「そうそう、彼女たちが行った場所がどこだか推理して、自分も行ってみようと思ったよい子の皆さん。時間と交通費の無駄ですのでやめましょうね」(p198)とあるんですが、こんなことをわざわざ書くということは、そういう人がけっこういるんですか? もっとも、シャーロック・ホームズが捜査の過程で乗った列車やら、天候やらを当時の時刻表や新聞調べて特定しようとするシャーロッキアンもいるぐらいですから、さほど不思議ではありませんし、作中の様々な場やその関連性が都市の構造と深く結びついている、というような小説なら上記のような行為にも読解に寄与するところがあるのでしょうが、「マリみて」の場合はそういう性質の作品じゃありませんから……。まあ、当人たちが楽しんでやっているならそれはそれでいいんでしょうけど。