ルパン三世はジャズがお好き


LUPIN THE THIRD「JAZZ」

LUPIN THE THIRD「JAZZ」


 今日も二時間スペシャルが放映されていたようで、いまだに根強い人気を持つルパン三世ですが、その劇中の名曲を作曲者の大野雄二みずからがトリオ(とその他)を率いてジャズ演奏したのがこのアルバムです。
 大野のピアノは音数が少なく、どこかレッド・ガーランドのようなゆったりとした雰囲気を持っています。個人的にはピアノトリオに加えてパーカッションが入るのが鬱陶しくてしょうがないのですが、それを差っ引いても、ルパンファンならお馴染みのテーマ曲がしっかりしたジャズになって聴けるのが魅力です。 
 一番の聞き物は、宮崎駿が監督の映画、『カリオストロの城』のエンディングテーマ、「Fire Treasure(炎のたからもの)」。マイナー・キーの曲で、ここでゲスト参加している山田穣が、情緒纏綿たる泣きのアルトを聴かせてくれます。ちょうどジャッキー・マクリーンを心持ち小粒にしたようで、決して技巧に秀でているというわけではないのですが、彼のかすれ気味の音はこの曲調に合っています。ただこれを聴いて連想するのはクラリスというよりも『紅の豚』のジーナじゃないかというアダルトな演奏ですが。
 ルパン三世サウンドトラックはずいぶんたくさんあるようですが、その中でもこれは出色の出来だと思います。普段ジャズを聴かない方でも、ルパンミュージックがお好きならおそらくは気に入られることでしょう。